新温泉町 七釜温泉 ゆーらく館

温泉好きで長生きしておるとのう、だんだん欲がなくなってくるもんじゃ。 絶景もいらん、豪華な料理も今日はええ。 「まっとうな湯に、ゆっくり浸かれたらそれでええ」 そんな気分のときに、しみじみと良さが分かるのが、 新温泉町の「七釜(しちかま)温泉 ゆーらく館」じゃ。

まず何がすごいかちゅうと、源泉100%かけ流しじゃ。 これを聞いただけで、ワシら温泉好きは背筋が伸びるわい。 例えるなら、冷凍モンじゃなくて、朝つきたての餅を出されるようなもんよ。 手間はかかるが、ごまかしがきかん。 ここは、そんな真っ向勝負をしておるんじゃな。

湯に入れば、すぐに分かる。 泉質はナトリウム・カルシウム‐硫酸塩泉。 じわ~っと体の奥に熱が入って、湯から上がってもしばらくポカポカしよる。 地元で「こたついらずの湯」と言われとるのも納得じゃわい。 派手な刺激はないが、効き目は確か。 ワシら年配者の体に、実に正直な湯じゃよ。

浴槽も楽しいぞ。 石風呂、ヒノキ風呂、そして名物の釜風呂じゃ。 湯船を変えるたびに、湯の当たり方が微妙に違うんじゃな。 これはまるで、同じ米を土鍋、羽釜、電気釜で炊き比べるようなもんじゃ。 素材は同じでも、味わいが変わる。 湯を楽しむとは、こういうことなんじゃろうな。

観光客向けに飾り立てすぎていないのも好印象じゃ。 休憩室では地元の人がのんびり腰を下ろして、 展示ホールではこの土地の自然や暮らしが紹介されておる。 「湯に入って、休んで、また明日を頑張る」 そんな日常の延長線に、この温泉があるんじゃな。

派手な温泉地に慣れとる人には、 正直、地味に映るかもしれん。 だが自由爺としては、 「本当に体を労わりたいなら、こういう湯が一番じゃ」 と、声を小さくして教えておきたいのう。