養生草紙
養生草紙 第三十三巻:天井の点と、静まり返った明け方

いやはや、参った。  今日は少しばかり、ワシが身を置いとうこの「病院」という場所の空気について、記しておこうと思うんじゃ。ここには個室もあれば、ワシがおるような四人部屋もある。ナースセンターのすぐ横には、ひときわ体調の優 […]

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養生草紙
養生草紙 第三十二巻:眩しき同僚と、瞼の重みに灯る感謝

いやはや、参った。  二度目の抗がん剤という「儀式」を終えて、ようやくあの荒波のような船酔いからは解放されたんじゃが、今度は別の波が押し寄せてきとう。体の隅々で、また新しい変化が起きとるようじゃ。  手足の痺れは相変わら […]

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養生草紙
養生草紙 第三十一巻:味覚の家出と、苦い再会

いやはや、参った。  一寸先は闇とはよう言うたもんじゃが、養生の道中も、角を曲がるたびに見たこともない景色が広がっとるもんやな。  今朝、目が覚めたときは「おっ」と思うたんじゃ。  ここ数日ワシを翻弄し続けとったあの嫌な […]

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養生草紙
養生草紙 第三十巻:緩やかなる傾斜と、食卓の上の攻防

三度目の朝がやってきた。  指先の痺れは、相変わらず虫が這うとるような感覚で居座り続けとうが、ありがたいことに、あの激しい「船酔い」の角度が、今日は少しだけ緩やかになった気がするんじゃ。嵐のピークは過ぎたんやろか……。胸 […]

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養生草紙
養生草紙 第二十九巻:腹の中のダンスと、藁をも掴む爺の叫び

いやはや、参った。  「寝て起きたら、魔法みたいに治っとる」……そんな淡い期待を抱いて目を閉じたんじゃが、現実はそう甘うなかったのう。  今朝、目が覚めて真っ先に確認したんじゃが、体調は昨日から何も変わっとらん。それどこ […]

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養生草紙
養生草紙 第二十八巻:青い皿、痺れる指先と心の中で叫ぶ「今」

いやはや、参った。  嵐というもんは、一難去ってまた一難、次から次へと波が押し寄せてくるもんらしい。  昼間の「船酔い」のような気分の悪さにじっと耐え、ようやく夕飯の配膳が回ってきた時のことじゃ。目の前に置かれたのは、な […]

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養生草紙
養生草紙 第二十七巻:時を刻まぬ船酔い、自分への恨み言

いやはや、参った。  病(やまい)との付き合いは、いつだって一筋縄ではいかんもんやと分かっていたつもりじゃが、今回は少々手強い波に飲み込まれてしもうたようじゃ。 明け方に感じたあの静かなモヤモヤは、昼を過ぎても引くどころ […]

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養生草紙
養生草紙 第二十六巻:静かなる違和感、二度目の試練

抗がん剤を受けた翌日の明け方。ふと、得体の知れない違和感に襲われて目が覚めたんじゃ。 「あれ、なんか気持ち悪い……」  そう呟いてみるが、吐きたいとまではいかん。ただ、胸の奥が静かにモヤモヤとして、脈がいつもより少し早い […]

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養生草紙
養生草紙 第二十五巻:点滴の儀式と、雨上がりの青写真

いやはや、二度目の「儀式」を終えてきたところじゃ。  一回目と同じ手続き、同じ説明……。何度も繰り返される手順を「儀式」のように受けて、二度目の点滴がスタートしたんじゃが、これがまあ相変わらず長い。痛くも痒くもない点滴の […]

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細工物小屋
第七話 小さな雷 木の葉に文字を 焼き付ける

いやはや、驚いた。 二〇二五年、六月。梅雨入り前のしっとりとした風が吹く加古川。ワシの細工物小屋にやってきたのは「レーザー彫刻機」という光の魔法じゃ。 スイッチを入れると、箱の中で「ビカビカビカッ!」と青白い光 […]

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