隠居の湯治 有馬街道温泉 すずらんの湯
有馬街道温泉 すずらんの湯
神戸の華やかな港町の賑わいを抜け、有馬の湯へと続く歴史ある街道を山の手へと上っていく。車を少し走らせるだけで、街の喧騒はいつしか遠のき、窓からは六甲山系が育んだ瑞々しい緑の匂いが飛び込んでくる。そんな街道沿いに、ひっそりと、だが凛と佇むのが「有馬街道温泉 すずらんの湯」でさぁ。
ここは単に「ひとっ風呂浴びて汗を流す」だけの、せっかちな場所じゃござんせん。
都会のすぐ隣にありながら、深く息を吸い込んで自然を感じ、移ろう季節を肌で浴び、湯そのものをじっくりと五感で味わう……。そんな大人の粋な遊び方にふさわしい、風流な日帰り湯治場でげす。一歩足を踏み入れれば、日常のあれこれがすっと消えていくような、おだやかな時間が流れておりやす。
神戸一の庭園露天風呂と美肌の湯
ここでまず度肝を抜かれるのが、神戸一とも謳われるあのご立派な「庭園露天風呂」だ。
湯殿の戸を開けて外へ出れば、目の前がパッと開ける。大きな湯船の先には、職人の手が入った見事な庭園がどこまでも広がり、春には瑞々しい新緑、秋には山を染める鮮やかな紅葉と、四季折々の美しい顔を見せてくれる。湯に首までどっぷりと浸かり、ふと目を外に向けてごらんなさい。するとどうでさぁ、まるで深い森の奥深くに分け入ったような圧倒的な開放感に、じんわりと包まれやす。
そして、足元から湧き出る湯は、地下千百メートルという気の遠くなるような深さから授かった大地の恵み、弱アルカリ性の単純温泉だ。
これがまた肌へのあたりが実になめらかで柔らかく、世間じゃ「美肌の湯」なんて呼ぶそうで。わしのような枯れかけた爺の肌も、湯上がりにはほんのりスベスベになりやす。熱すぎず温すぎず、絶妙な湯加減でな。体の芯まで熱がしっかり染み込んで湯冷めしにくい、実にいい湯でさぁ。
充実の内湯と「宮水」のサウナ体験
ここは露天だけじゃねぇ、内湯の設備も実に見事に充実してやがる。
特にサウナ好きの御仁にはたまらないのが、こだわりの蒸気浴(ロウリュ)だ。なんと、灘の酒造りにも使われる天下の名水「宮水(みやみず)」を贅沢に使っておる。宮水が熱い石の上で弾け、一気に立ち上るきめ細やかな蒸気が、全身を優しく、かつ力強く包み込む。さらに、心地よい香草の香りが鼻腔を抜けるハーブサウナもありやす。
この熱と水のリズムに身を任せておれば、滞っていた血の巡りがみるみる良くなっていくのがわかる。最近の若ぇ衆がよく言う「整う(ととのう)」ってぇやつを、この爺もしかと実感できやした。
面白いのは、温泉と「名水」の両方を一度に味わえるってことでさぁ。温泉の優しい温もりで体を緩め、六甲の自然が育んだ名水「宮水」の水風呂でキリッと清涼感を味わう。この二つの贅沢な恵みを交互に楽しむなんざ、バチが当たりそうなほど贅沢な大人の火遊びでげすよ。
普請直しの美しさと畳の寝床
数年前に大がかりな普請(ふしん)をし直して(リニューアル)くれたおかげで、屋敷の中も外も、すっきりと綺麗になりやした。
新しくなった館内はどこか昭和レトロな落ち着きがあり、長居したくなる心地よさだ。なかでも特に嬉しいのが、露天エリアに設けられた「畳の寝床」でござんす。風呂上がりに、火照った体のまま畳の上にゴロリと横になり、目を閉じる。耳を澄ませば木の葉が擦れ合う音が聞こえ、頬を季節の風がそっと撫でていく。これぞまさに極楽、これ以上の「整い処」はちょっと他には見当たりやせん。
館内には、湯上がりの空腹を幸せに満たしてくれる飯処もあり、一工夫凝らした旨い創作料理をいただくことができやす。
地元の味覚に舌鼓を打ち、心も体も満たされる。これだけの極上体験が、三宮の市街地から車でほんの一刻(15分)てぇ近さにあるってんだから、そのアクセスの良さも最大の魅力だ。思い立った時にふらっと行って、極上の湯と飯にありつける。この気軽さは何物にも代えがたい。
湯と自然の一体感に身をひたす
自由爺が思うに、この「すずらんの湯」の本当の良さは、一言で言えば「湯と自然の一体感」に尽きやす。
庭の瑞々しい緑、湯のどこまでも柔らかい肌触り、サウナから立ち上る熱気、そして湯上がりに肌をくすぐる天然の風。そのすべてが過不足なく一つに溶け合って、疲れた心と体にじわじわと染み渡る。
日々の暮らしの中で、浮世の喧騒やちっぽけな雑音に少しばかり疲れてしまい、静かな自然の中でじっくりと自分自身と向き合いたい……そんな風流な御仁には、わしから自信を持ってここをお勧めいたしやすぜ。ぜひ一度、お気に入りの手ぬぐいを片手に、粋にふらりと出かけてみてはいかがかな?

ここにあるお話(養生草紙)は、すべてワシ個人の体験談やレビューや。お薬や治療の代わりになるもんやないからね。
体の調子がすぐれない時は、無理せんと専門のお医者さんの診断を仰ぐのが一番の養生や。自分の体を一番に大切にしてな。
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