隠居の湯治 グランドエクシブ鳴門
グランドエクシブ鳴門
兵庫の我が家から明石海峡を渡り、淡路島を縦断して大鳴門橋を越えれば、そこはもう四国は阿波の国。その鳴門の険しくも美しい緑豊かな高台に、まるで中世の城郭か宮殿のように気高くそびえ立つのが、今回ご紹介する「グランドエクシブ鳴門」でさぁ。車を走らせてぐんぐんと坂道を上っていくにつれ、視界がパッと開け、眼下には穏やかな瀬戸内海がどこまでも青く広がっていく。その雄大な大パノラマは、湯にどっぷりと浸かる前から、日頃の小忙しさで強張った爺の心をすぅーっと優しくほぐしてくれやす。
ちとお断りしておきますが、ここは古くから大地の底から滾々と湧き出る、いわゆる「天然温泉」じゃござんせん。
じゃあ何だってぇと、地下から汲み上げた清らかな水に、「麦飯石(ばくはんせき)」なる古来より重宝されてきた不思議な鉱石を通し、大地のミネラルをたっぷりと含ませた、いわば現代の知恵が詰まった「養生の湯」なのでございます。大自然の恵みに頼るだけでなく、現代の工夫と技術で旅人を極上にもてなそうてぇ湯処。はじめからそう思って暖簾をくぐっておくんなせぇ。期待を裏切らない極楽が、その先で待っていやすから。
絶景と優しき湯の心地よさ
旅に出りゃあ「いったいどんなお湯が待っているか?」と、いつでも胸がワクワクと躍るもんですが、ここは海と山の織りなす圧倒的な絶景で、その高い期待に真正面から応えてくれやす。
衣服を脱ぎ捨てていざ浴場へ足を踏み入れれば、そこは別世界。大浴場や露天風呂の大きなガラス窓の向こうには、折り重なる鳴門の山並みと、瀬戸内の広い空が遮るものなく一望できる。まさに、湯船に身を沈める「ひとっ風呂」の瞬間が、そのまま一枚の贅沢な風景画になるような、言葉を失うほどの感動的な体験でさぁ。
内湯は天井が高く広々としていて、家族連れや仲睦まじい夫婦者(めおともの)でも、お互いに気兼ねなくゆったりと入れる実にゆとりのある寸法だ。
例の麦飯石をじっくりと通した湯は、「肌に優しく、驚くほどすべすべになる」と世間でも評判でしてね。実際、お湯に肩まで浸かって自分の腕をさすってみれば、おやおや不思議。わしのような日焼けして枯れきった爺の肌もしっとりと潤い、生き返るようでげす。長年いろんな土地の温泉巡りをしてまいりやしたが、こういう角のない、身体を優しく包み込んでくれるような「優しさ」のある湯は、体に負担がなくて実に嬉しいもんでござんすね。
茜色に染まる露天の贅沢
そして、内湯から一歩外の露天風呂へ出りゃあ、また肌をくすぐる風の匂いがガラリと違いやす。
高台ならではの澄んだ空気の中、海と空の鮮やかな色彩をそのまま湯面に鏡のように映し出し、まるで自分自身が瀬戸内の海と一体になっちまったような、えも言われぬ圧倒的な開放感。耳を澄ませば遠くから波の音が優しく響き、長居を決め込みたくなるのを堪えろてぇのが無理な話さ。
もちろん、早朝のツンと澄み切った静寂の中で浸かる朝風呂も格別ですが、自由爺としては、やはり夕暮れ時の一刻を強くお勧めでさぁ。お天道様が西の山へと静かに沈み、燃えるような夕焼けが広い海を美しい茜色へと染め上げていく頃。お湯に身を委ねて、ぼんやりと移ろう空のグラデーションを眺める。時計の針の進みすら忘れて、ただただ自然と溶け合う。
「ああ、今日ここまで旅をしてきて、本当に損はなかったな」
心の底から素直にそう思える、贅沢で至福の瞬間がそこには確かにありやす。
湯浴みを超えた、もう一段の癒やし
それから、ここを訪れたなら絶対に忘れちゃならねぇのが、敷地内に佇む「スパ・エステ(アロマハウス)」の存在だ。
ただお湯に浸かって汗を流すだけじゃあ、ちと物足りねぇ。厳選された植物の香油(オイル)を贅沢に使い、熟練の手技でくたびれた体をじっくりと揉みほぐしてもらえば、固まっていた筋肉も日頃のストレスも、まるで春の雪のように体の芯からとろけるようでさぁ。
ただ湯船に「浸かるだけ」になりがちな昔ながらの湯治に、現代的なリラクゼーションというもう一段上の極上の癒やしが加わるってぇもんです。自分へのご褒美にこういう贅沢を挟むのも、大人の旅の粋な遊び方じゃござんせんか。
こうして湯とエステで心も体もすっかり解きほぐされた後は、これまた旅の大きなお楽しみ、極上の夕食が待っておりやす。
鳴門の地と言やぁ、激しい潮流に揉まれた身の締まった魚介をはじめ、海の幸・山の幸のまさに宝庫。湯上がりでポカポカと火照った体を落ち着かせながら、瀬戸内の旨い海の幸を肴に、地元の地酒をキュッとやる……。五感のすべてが満たされるこの一瞬を、「温泉旅の最高の醍醐味」と呼ばずして、一体何と言いましょうか。お腹も心もこれ以上ないほど満たされて、一日の締めくくりとしてはもう文句のつけようがねぇ。
極上の骨休めを求めて
ここは、昔ながらの賑やかで派手な温泉街に湧く、硫黄の匂いがぷんぷんするようなお湯じゃござんせん。
だがね、他所じゃあ滅多に拝めない瀬戸内の大絶景と、身体を芯から労る優しい工夫の湯、それに極上のエステと旨い飯という、現代の癒やしの合わせ技。これらが過不足なく見事な塩梅で揃っておるから、温泉うるさがたの自由爺も深く満足いたしやした。
昭和の古き良き湯治の情緒も愛おしいですが、こうして現代の知恵を借りて、静かな時の流れの中で自分を甘やかすのも新しい温泉の愉しみ方ですな。鳴門の爽やかな風に吹かれ、優しい湯に浸かり、ただただ静かな時を過ごす。日々の小忙しさに少しばかりお疲れの御仁には、そんな日常を綺麗さっぱり忘れさせてくれる極上の骨休めが、ここには確かにありやすぜ。次の休みにでも、大切な人を誘って、ふらりと出かけてみてはいかがでえ?

ここにあるお話(養生草紙)は、すべてワシ個人の体験談やレビューや。お薬や治療の代わりになるもんやないからね。
体の調子がすぐれない時は、無理せんと専門のお医者さんの診断を仰ぐのが一番の養生や。自分の体を一番に大切にしてな。
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