養生草紙 第二十巻:抗がん剤と放射線、拍子抜けの初陣

いやはや、案ずるより産むが易しとは、まさにこのことじゃな。

抗がん剤を投与した翌日の朝。おそるおそる目を覚ましてみれば、体調は至って普通。いつも通りに朝飯を平らげ、先生の巡回を受け、これまたいつもの検査を済ませ……。「あれ、抗がん剤って、こんなレベルなん?」と、拍子抜けしてしもうたわい。

テレビのドラマなんかじゃ、患者さんがバケツを抱えて苦しんどる姿をよう見るやんか。ワシもああなるんかとビクビクしとったが、今のところは「全然大丈夫やん」という感じじゃ。全部で五クールの戦いやと聞いとるが、この調子ならなんとか乗り越えられそうやと、少し安心したよ。

さて、今日は昼から放射線治療もスタートしたんじゃ。  放射線科へ行くと、今度は医師や技師さんから、これまた仰々しい説明を受けてな。筒のような装置の中で三十分ほど、寝ながら息を止めたり吐いたりするんやと。ワシの敵(がん)は左の肺におるから、左手を上に上げて肺を前に出す、なんとも妙なポーズを維持せにゃならん。

「さあ、いよいよ熱いんか、痛いんか」と身構えとったんじゃが……終わってみれば、これまた痛くも痒くもありゃせん。ただじっとポーズを決めとるだけで、あっけなく初日が終了してしもうた。

抗がん剤といい、放射線といい、あんなにオドオドしく構えとったのが嘘のようじゃ。「こんなんやったら、全然怖くないやん!」と、帰り道は足取りも軽うなったわい。

もちろん、これから副作用が出てくるかもしれんし、油断は禁物や。けれどものう、最初の一歩が「怖くなかった」という事実は、何よりの薬になる。おかげで気分もぐっと楽になったよ。

ま、明日からも油断せんと、この「拍子抜け」を維持していきたいもんやな。  皆も、まだ見ぬ敵を怖がりすぎとる時があるかもしれんが、いざ飛び込んでみれば案外「こんなもんか」と思えるかもしれんぞ。

さて、今夜は気分よく、早めに休むとしますか。また明日も、ボチボチな。

拙い話にお付き合いくださり、感謝の極みじゃ。
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