養生草紙 第二十一巻:手のひらの魔法、退屈を溶かす「つながり」

いやはや、抗がん剤の初陣から一週間。  先生から「一週間は安静にしときなされ」と言われとったんで、気分転換に外の空気を吸いに行く以外は、大人しくベッドで横になっとったんじゃ。

毎日欠かさず受けとる放射線治療も、相変わらず「気の抜けるくらい大したことない」ままでな。痛みも熱さもありゃせん。こうなると、毎日が日曜日というか、ただただ時間が余ってしゃあない。「退屈で死んでまうわ!」と叫びたくなるところじゃったが、今回ばかりはワシの先見の明が功を奏したわい。

実はな、この入院を機に、初めて「スマホ(iPhone)」というやつを買うて持ち込んだんじゃ。  これがまぁ、えらいもんやな。設定やら操作やらを覚えるだけでも一苦労じゃが、それがかえってええ頭の体操になる。

知れば知るほど魔法の板きれじゃな。  この一週間、ベッドの上でいじり倒しとるが、驚くような機能が次から次へと出てきよる。

特におったまげたのが、ワシが喋った言葉を、そのままスルスルと文字に変えてくれる機能じゃ。指先が少し強張っとる時でも、声を出せば代わりに書いてくれるんやから、ありがたいこっちゃ。さらには、声だけでいろんな操作ができるんやから、まるで身の回りの世話をしてくれる小さな執事がおるみたいやな。

それから、テレビ電話というやつもやってみたぞ。  離れたところに居る家族の顔を見ながら話ができる。ただの声だけとは違って、相手の表情が見えると、心の距離までグッと近うなるような気がするわい。真っ白な病室におっても、こうして誰かの笑顔を間近に感じられるんは、今のワシにとっては何よりの「心の養生」じゃな。

昔住んでいた場所を調べたり、学生時代の歌を聴いたり……。PHSでは味わえなんだ「つながる」感覚。この小さな機械が、孤独になりがちな入院生活の窓を、パッと開いてくれた気がするよ。

ま、便利すぎてついつい時間を忘れてしまうのが玉に瑕じゃが、この新しい相棒と一緒に、明日からの治療も前向きに乗り越えていけそうじゃ。

皆も、新しい道具に触れて、自分の世界を広げてみなされ。  さて、今夜は誰に顔を見せにいこうかのう。ボチボチ、操作に励むとしますか。

拙い話にお付き合いくださり、感謝の極みじゃ。
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