養生草紙 第四巻:地獄の管(くだ)

喉元の攻防

えー、今日は追い打ちをかけるように「気管支鏡」という、これまた厄介な検査でござんした。 前もって「少々、苦しいですよ」とは聞かされておりやしたが、いざ始まってみれば、想像を絶する難行(なんぎょう)でございました。

喉の奥へ、無理やり異物が入り込んでくる。 一息吸うたびに、体じゅうが「やめてくれ!」と悲鳴を上げ、拒絶反応を起こしやす。 苦しさもさることながら、背中からは滝のような冷や汗が流れ落ち、敷かれたシーツがぐっしょりと湿っていくのが、はっきりと分かりやした。

医者殿は「力を抜いて、楽にして」と仰るが、そんな余裕はどこにもございやせん。 ただただ「一刻も早く、この管を抜いてくれ」と、それだけを念じて、嵐が過ぎ去るのを待っておりやした。

ようやく終わって、ぐったりと横たわったまま、見慣れぬ天井を眺めておりやした。 ……これほどまでの思いをせねば、突き止められぬ場所に「影」がある。 その事実の重みが、静かに、じわじわと胸に迫ってきたのでござんす。