隠居の湯治 白雲谷温泉 ゆぴか

兵庫の奥深き名湯 ── 小野市「白雲谷温泉 ゆぴか」

兵庫の国も広うござんすが、ちと知る人ぞ知る、奥深い名湯がありやす。それが小野市の緑深い山あいにひっそりと佇む「白雲谷温泉(はくうんだにおんせん) ゆぴか」でさぁ。都会の喧騒を通り抜け、なだらかな丘を越えていくと、いつしか窓の外には鮮やかな緑が広がり、胸いっぱいに吸い込む空気が清々しく変わっていくのがわかりやす。

ここは、県内外のうるさがたの湯好きたちがこぞって集まる隠れた名所。

ここでまず驚くのは、「単に湯に浸かるだけじゃねぇ、景色の癒やし」が五感にまっすぐ飛び込んでくるってことでげす。目の前に広がる森や山の、季節ごとの瑞々しい表情を眺めながらの湯浴み。こいつはビルに囲まれた街中の銭湯じゃあ決して味わえねぇ、大自然に抱かれた最高のご馳走、贅沢というものでさぁ。

温泉基準の16倍、驚異の「熱の湯」

暖簾をくぐって浴場へと向かい、衣服を脱ぎ捨てていざ湯殿へ足を踏み入れる。

ここの湯は、地下深くから滾々と湧き出るカルシウム・ナトリウムを含んだ塩化物泉。なんでも成分の濃さを調べてみりゃあ、温泉の基準の16倍以上だってぇから恐れ入る。湯船に体を沈めると、ピリピリとした刺激はなく、どこまでも滑らかに肌に馴染む。だがね、その濃い成分の塩分が肌の表面を薄くベールのように覆って、中の熱を大気へと逃がさねぇ。

いわゆる「体の芯の芯からじんわりと温まる熱の湯」でさぁ。湯船から上がった後も、まるで上質な毛布に包まれているかのようにポカポカとした温もりがずっと持続する。冷え性や日頃の不摂生で痛む節々に実によく効くもんで、あっしらのような年配者にはこれ以上ない、ありがたい極上の「薬湯」でござんすよ。

水辺の湯と森の湯、趣の異なる極楽

「ゆぴか」の面白いところは、趣向を凝らした湯殿がいくつか分かれてることでしてな。「森の湯(もりのゆ)」に「水辺の湯(みずべのゆ)」、それに「白雲の湯」と、それぞれに職人の粋な遊び心が光る造りになっていやがる。

特に「水辺の湯」の露天風呂なんざ、湯船のへりと、目の前に広がる穏やかな池の景色が境界線なく一体になって見えてな。湯に首まで浸かっていると、まるで大自然の真ん中にぽつんと浮いているような、なんとも不思議で開放的な心地になれやす。最近の若ぇ衆が横文字で「いんふぃにてぃ」なんて言うそうですが、まさに絶景を独り占めってやつですな。

一方の「森の湯」は、大きな木組みの屋根がどっしりと構えているんで、雨の日や日差しの強い日でもお天道様を気にせず安心だ。湯殿を渡る心地よい風に吹かれながら、遠くから聞こえる野鳥の愛らしいさえずりに耳を傾け、目の前の森をボケーっと眺めて湯に浸かる。心も体も、日頃の暮らしでこわばった筋(すじ)がゆるりとほどけていく……これぞまさに「湯と風景の見事な調和」でさぁ。

湯だけじゃねぇ、長居を楽しむ隠れ家

もちろん、お楽しみは湯だけじゃござんせん。館内を歩けば、岩盤浴(がんばんよく)に本格的なサウナ、気軽に立ち寄れる足湯に、お腹を満たしてくれる食事処まで至れり尽くせりで揃ってやがる。

特に岩盤浴は、世界中から集められた貴重な薬石を贅沢に敷き詰めた本格派でしてね。サウナの熱気とはまた一味違う、身体の内部からじわじわと温まる「芯からの汗」がかけると評判だ。体の中の悪いもんがすっきりと流れ出していくようで、これぞ極上の骨休め。一度ここに入っちまえば、一日中のんびりと、自分の長屋(家)にいるよりも快適に過ごせちまう。

それでいて木戸銭(入館料金)も実に手頃で、駐車場も広々と確保されてときた。家族連れでにぎやかに訪れるのも良し、手ぬぐい片手にふらっと一人旅で寄るのも良し。敷居が低くて誰もが自然体でいられるのが、何よりも嬉しいじゃござんせんか。近くの山歩きや散策の道と合わせれば、いい運動の後の極上の骨休めにもなりやすぜ。

自由爺の企み

今回、自由爺としてしみじみと心に残ったのは、ここは単なる日帰りのお風呂じゃねぇ、心と体を丸ごと包み込んでくれる「癒やしの総合空間」だってことでさぁ。

大地の力が詰まった湯の力、胸いっぱいに吸い込む森の澄んだ空気、じっくり汗をかく岩盤浴に、湯上がりの旨い飯。ここで過ごす時間のすべて、一瞬一瞬が、立派なひとつの「湯旅(ゆたび)」になる。近場でこれほどの贅沢な旅情を味わえる場所は、そうそうお目にかかれるもんじゃございやせん。

すっかり身体が軽くなった帰り道、あっしは早くも次の旅の計画を練り始めておりやす。

次は朝一番乗りで静寂を楽しみ、昼は岩盤浴で心地よい昼寝、夕方は夕暮れに染まる森を湯船からぼんやりと眺める……。そんな贅沢な一日を自分の好きに過ごしてやろうかと、今からニヤニヤと企んでおりやす。皆さんも日々の小忙しさに少しばかりお疲れなら、小野の極楽へ、ふらりと出かけてみてはどうでえ?

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湯船と景色が一体化して見える「インフィニティバス」や、森の眺めを楽しめるドーム型の「森の湯」など自然と一体化する温泉体験を提供いたします。