養生草紙
養生草紙 第十三巻:出端をくじかれた朝、心の癖とインスリン
いやはや、入院二日目の朝。気合を入れ直して「いざ、抗がん剤との戦いじゃ!」と身構えとったんじゃが、どうにも世の中、思うようにはいかんもんやな。 医師からの説明では、当初の予定どおりにはいかんとのこと。なんでもワシの血糖値 […]
養生草紙 第十二巻:白い天井、止まった時計と屋上の風
いやはや、入院初日の午後というのは、どうしてこうも時間が進まんもんじゃろうな。 お昼時までは検査やら説明やらでバタバタしとったんじゃが、それが終わると急に「手持ち無沙汰」という怪物に襲われた気分じゃ。病室は四人部屋。十七 […]
養生草紙 第十一巻:青い器と静まり返った城、予期せぬ入院生活
いやはや、ついに「その日」が来てしもうた。 朝の九時に病院へ滑り込み、入院の手続きを済ませ、病室に荷物を放り込む。それから看護師さんの説明やら血液検査、レントゲンとはしごをしとったら、あっという間に正午じゃ& […]
養生草紙 第十巻:はち切れんばかりの焼肉、明日への誓い
いやはや、いよいよ入院前夜じゃ。 今夜ばかりは「養生」なんて言葉は横に置いてな、ワシの我儘を通させてもらったんじゃ。 最後の夜は、肉を腹一杯食う。そう心に決めとった。家族を連れて、馴染みの焼肉屋の暖簾をくぐった時の、あ […]
養生草紙 第九巻 覚悟の坊主頭、鏡の中の「よし大丈夫」
いやはや、いよいよ入院を明後日に控えてな。今日は意を決して、近所の床屋へ行ってきたんじゃ。 目的はただ一つ、頭を丸めること。 これから始まる抗がん剤治療で、髪が抜け落ちるということは聞いとった。パラパラと髪を失っていく […]
養生草紙 第八巻:情けは人のためならず、涙の辞職願
いやはや、人生の崖っぷちに立たされた時、人の温かさがこれほどまでに身に染みるとは思わなんだ。 医師から「余命二年」という無慈悲な宣告を受けた翌日のことじゃ。ワシは重い足取りで会社へ向かい、上司にすべてを打ち明けた。「いつ […]
養生草紙 第七巻:病院のベンチ、涙の許し
いやはや、診察室の空気というのは、どうしてあんなに冷たく、重たいもんなんじゃろうな。 ワシがひと通り宣告を受けた後、身内も診察室に呼ばれてな。医師から淡々と、一言一句違わぬ「審判」が再び下されたんじゃ。隣で話を聞いとる身 […]
養生草紙 第六巻:余命二年の審判、凍てつく身体
いやはや、人生には、言葉というものが全くの「無力」に変わる瞬間があるもんじゃな。 医師の前に座り、淡々と告げられる言葉をただ聞き流す。 「肺せん癌」「3期B」「リンパに転移」「手術不能」。……まるでどこか遠い国のニュー […]
養生草紙 第五巻:九時間の静寂、父の背中と重なる夜
いやはや、人生には時折、しんと静まり返って、自分の心臓の音だけが大きく聞こえるような夜があるもんじゃな。 一通りの検査を終えて、いよいよ明日は医師からの「審判」が下るという、その前夜。 正直なところ、検査を受けている最 […]
養生草紙 第四巻:地獄の管(くだ)
喉元の攻防 えー、今日は追い打ちをかけるように「気管支鏡」という、これまた厄介な検査でござんした。 前もって「少々、苦しいですよ」とは聞かされておりやしたが、いざ始まってみれば、想像を絶する難行(なんぎょう)でございまし […]
