養生草紙 第二十四巻:おかえりと青い器、慣れという名の再会

いやはや、とうとう戻ってきてしもうた。二度目の入院初日じゃ。

病棟へ足を踏み入れるなり、看護師さんから「おかえりー! ゆっくりできましたかー?」と明るう声をかけられてな。その笑顔は嬉しいんじゃが、内心では「ああ、帰ってきてしもうたか……」と、ちぃとばかり残念な気持ちが頭をもたげたわい。あの「普通の日常」が名残惜しゅうてならんのや。

とはいえ、しんみりしとる暇もありゃせん。病室で荷物を解くが早いか、すぐに検査のフルコースが始まった。血液を抜き、レントゲンを撮り、CTにMRI……。次から次へと機械の間に放り込まれとったら、あっという間に夕暮れじゃ。

夕方、先生がひょっこり現れてな。「大きな崩れはないから、二回目の抗がん剤は明日行いますね」と淡々と告げられたんじゃ。一回目の時は「死ぬ??」なんて心臓をバクバクさせとったワシじゃが、一度経験しとるというのは強みやな。今回は「ああ、そうですか」と、驚くほど静かに受け入れることができた。自分でも「ワシも随分と肝が据わってきたもんや」と感心したくらいじゃ。

ところが、その「悟り」をいとも簡単に打ち砕く強敵が待っとった。  説明が終わって運ばれてきた夕食。そこにおったのは……またしても、あの食欲を削いでくれる「青いプラスチック容器」に入った煮物じゃ。

「ああ、これこれ……。やっぱり残念な気持ちになるなぁ」

家の陶器の茶碗で食うた刺身の旨みが、まだ舌に残っとるんやろうな。この青い色を見ると、どうしても「自分は患者なんや」と突きつけられるような気がして、思わずため息が出てしもうたわい。

ま、器はともかく、中身は身体を治すための大事な糧じゃ。  明日の二戦目に向けて、目をつぶってでもしっかり腹に収めておかんとな。

皆も、避けられん「残念な再会」があるかもしれんが、それも修行やと思って笑い飛ばしてみなされ。  さて、今夜は病院のベッドに身体を馴染ませて、明日に備えますかな。

また、ボチボチと戦ってきますわ。

拙い話にお付き合いくださり、感謝の極みじゃ。
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